きっとこう言われることでしょう.
「そんなにマナー悪くない」「ネガティブな部分だけ盛りすぎだ」
しかし,オープニングを体験した者として,これだけは記しておかなければなりません.
上海ディズニーランドは戦いの歴史だったことを.
別次元から現れる中国人
オープン日,大量のゲストが早くから並ぶことが予想され,パーク側も大量の警備員を雇って待ち構えていました.
しかし,当日はディズニーの偉い人が引くほどゲストがおらず(ほぼほぼ日本人と欧米人),6時に予定されていた待機列移動も延期に.
荷物検査レーンにただ立っているだけでシフトが終わるキャスト,いつ動くのか分からないまま待機させられるゲスト.荷物をホテルに預けに行くのも戦々恐々.
9時,ようやく荷物検査レーンが空き,列が動くことに.
ちなみにここまで何のアナウンスも行われていません.
上海ディズニーランド最初の戦いが始まりました.
荷物検査を終えるもその後の道が分からない!
実は荷物検査の後,パスポートを引き替える列に並び,そこから別会場の待機ゾーンに行かなければならなかったのです.
アナウンスしたとキレるキャスト.
何言っても後の祭り.
そして待機ゾーンについてみると,先頭はなぜか一面の中国人.どこから出てきた.
そっか,荷物検査無視して突破していた集団いたもんね.
笛の音で開園
上海ディズニーランドがオープンした記念すべき瞬間.
お城では盛大なセレモニーが開かれていました.
では,一般ゲストはどのようにしてオープンの瞬間を迎えたのでしょうか.
上海ディズニーランド第二戦,答えは「笛が鳴り響く中なし崩し的に」です.
警備員による警告の笛が鳴り響く中,柵の解放部分が勝手に広がっていき,人波に流されていくと気付けばパーク内に入りました.
知らないうちに上海ディズニーランドに足を踏み入れたのです!
戦いの歴史
パーク内では,横入りは当たり前.
子供を前に走らせて,それを追いかけることで列を抜かすなどの手段が各所で用いられます.
中国語でキレてくるゲスト,その子どもはなんかめっちゃ馬鹿にしてくる(雰囲気で伝わるレベル).
子供は柵に登って遊び,親が注意したかと思いきや「柵に座ってぶらぶらした足が私に当たった」と注意した模様.
ゴミは散乱し,トイレはゴミ箱やら道端やら,屋根の扇風機は壊れて降ってき,ゲスト同士で殴り合いが始まり…
道端トイレ事件以降すべての水たまりを避け,ゴミを避け,屋根の扇風機は気にして,後ろのゲストに警戒し,と全方位注意を続けなければなりません.
そしてアトラクションが止まれば暴動が起こります.
そう,間違いなく,上海ディズニーランドは戦いの地なのです.
もし戦わなかったら?
横入りは防ぐし必要な喧嘩は買う方針で過ごしていましたが,もし全てに屈して譲っていたらどうなっていたのか.
それはそれでストレスなく楽しめたのではないか?
もし全てに屈していたら…
2日目の朝,まずはファストパスを取ろうとキオスクに向かった我々をある落とし穴が待っていたのです.
「パスポートが無効」
前述の通り初日がゲート通らずにパークに入ってしまったことが原因らしく,2デーパスポートは全員ファストパスが取れない事態.
この状況を受けたキャストの発言「もう一回入園して来い」.
は?
当日は確実にゲートを通しているし,状況からして原因は“昨日”ゲートを通れなかったこと.
今更再入園したところで何も変わらないのは明らかです.
しかし頑なに「もう一回入園して来い」.
上海ディズニーランドにおいて戦いを避けること,それはファストパス取得の権利を失うレベルのことなのです.
死か戦いか
3日目の朝,荷物検査レーン開場待ちに並んでいました.
荷物検査レーンは5つほどあり,それぞれ列ができていたのですが,なぜか開いたレーンは2つ.
当然,残り3つの列は開いた列へと横移動をします.
ちいさなゲートに大量のゲストが押し寄せます.
キャストはキレます.
大量のゲストが押し寄せます.
キャストはキレます.
数の力が勝利を収めます.
こうして,圧倒的な大衆の力が警備員を押しのけ,3日目の荷物検査レーンはただの道になったのです.
ちなみに,開かなかった列にいた全員が移動していますから,ここで大衆側に参加しなければ圧死されます.
冗談抜きで死を意識しました.ディズニーランドで.
新時代のディズニーランド哲学
上海において,物事は喧嘩で解決します.
そのうち中国語は全て喧嘩に聞こえてきます.
喧嘩さえ強ければ,キックボードに乗りながら荷物検査を通過することもできます.
大衆が押し寄せて数の力で勝負を挑めば,荷物検査の警備員を排除することもできます.
この100年間,ディズニーと名のつくものにおいて,ウォルトこそ絶対的な王様でした.
しかし今,最新のディズニーランドにおいて,新たな判断基準が生まれました.
上海ディズニーランドにおいてウォルトの精神はルールではありません.
ルールは喧嘩で決めるものなのです.
さあ行こう,新時代の戦うディズニーランドへ.