この記事はディズニー関連ブログアドベントカレンダー2016の25日目の記事です.
最終日となる今日は,予定を変更いたしまして,無難な記事をお送りいたします.

普段238は何をしているのか問題


Twitterだけ見るといつもお酒を飲んでは遊んでいる人に見えますが,現実世界では大学院に通っています.
理工学研究科というところで,可視化とコンピュータ・グラフィクス,そしてインタフェースの3分野の研究室に所属しています.
自分自身の研究は,視線追跡を用いたインタフェースの開発を研究対象としており,日夜(たまに)研究に励んでおります.サンタさん,進捗欲しい.
今回は,みなさんが理解しているようで理解していない,コンピュータ・グラフィクスにおけるディズニーのスゴさをお伝えしたいと思います.
日々こうやってコンピュータ・グラフィクスの分野に従事していると,絶えずディズニーがつきまとうんです.
僕にとっては研究のモチベーションになるので良いことなのですが,それと同時に厳しい現実を突きつけられるので複雑な気分です.

ACM SIGGRAPH


毎年夏に開催されているACM SIGGRPAHという学術会議があります.

ACM SIGGRAPH


直近2年はみんな大好きアナハイム・コンベンション・センターで開かれていたりします.
このSIGGRAPHはコンピュータ・グラフィクス界において最も歴史があり,かつ権威のある学術会議です.
それゆえここにpaperを通せば一発で修士号がもらえるくらい権威があります.ハァ.
このことから,情報工学,とりわけグラフィクス系に従事する研究者は常にこの学会をウォッチしています.

コンピュータ・グラフィクスにおけるディズニー


で,ですよ.もうほんと,これだけ難しい学会なんですけど,ディズニーの一人勝ち状態なんです.
たとえば,今年(2016年)のSIGGRAPHを例にとってみましょう.

学会に応募された論文が467件
そのうち学会に採択された論文が119件(採択率25%)
採択された論文のうち”ディズニー”から出された論文が14件採択論文の12%

アホか!!!
いやほんとに,ディズニー以外もいっぱい論文出してるんですよ!?
マイクロソフトの研究所とかアドビの研究所とかもうそれはそれは頭のいい人たちもいっぱい出してるんですよ!?
なのにディズニーが一人勝ち状態なんです.毎年開いた口が塞がらない!!
(ちなみに今年(2016年)は238もSIGGRAPHにポスタ論文だしたけどリジェクトされた)
ピクサーを皮切りとして,コンピュータ・グラフィクスの創成期を牽引してきたディズニーですが,時が流れた現代でも変わらずこの分野を引っ張っていっているんです.本当にスゴい.

なんか何を言いたいのか完全に忘れてしまったので,2016年のSIGGRAPHに採択されたディズニーの論文から3つ紹介して終わりにします.

Real-time Skeletal Skinning with Optimized Centers of Rotation


リアルタイムで,ボーンに自然なスキニングを施す技術に関する論文です.
プレビズの時点で完璧なスキニングを施せるので,昨今の映画製作にはもってこいの技術なんだろうなぁ.
論文のティザー画像を観る限り,おそらくハルクのレンダリングに使われたものなのでしょう.素敵.

A Compiler for 3D Machine Knitting


ある程度複雑な編み物の構造を,簡単な記号に落とし込むことで,容易に編み物を製作可能にした論文です.
服飾のプロフェッショナルでなくても簡単にニット製品をデザインできるところがディズニーっぽい!
これからこの技術を用いてどんどんプロダクトが開発されていくんだろうなぁ.スゴい.

Lightweight Eye Capture Using a Parametric Model


眼球をある程度お手軽にキャプチャしちゃう論文.
「キャラクターは目が命だ!」の望みを簡単に叶えちゃう魔法のような技術.
コンピュータ・グラフィクスのキャラクターは一体どこまでリアルに近づいちゃうんだろう.

さいごに


というわけで,今回はコンピュータ・グラフィクスにおけるディズニーのスゴさをお伝えしてみました.
これをきっかけにディズニー技術クラスタがもっと増えてくれると嬉しいです!
メリークリスマス!!!

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